八方池2

’１3 甲信の桜とチューリップ巡り　2

イバイチの
旅のつれづれ

　　甲信の桜とチューリップ
　　　　　（平成２５年４月１２日～４月１４日）

　　　　第１日　　小諸懐古園のサクラ　
　　　　第２日　　新府桃源郷の桃
　　　　　　　　　　ハイジの村のチューリップ
　　　　第３日　　高森観音堂などのサクラ　
　
　　　　　　　　　　　　　（自家用車で）
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３．新府桃源郷

 　翌日、韮崎市にある新府桃源郷という桃の名所に行く。この辺りは標高も高いため、山梨県で最も遅く４月中旬が見頃になる。今年は全般に開花が早いためどうかなと思ったが、幸いまだ咲いていた。（写真は新府桃源郷の案内板、桃源郷３景）

　青空の下、遠景に白雪を頂いた南アルプスの甲斐駒、鳳凰三山などを眺め、近景に菜の花やタンポポを配してピンクの桃の花が咲く風景はまさに一幅の絵画にふさわしい光景である。
（写真は桃源郷３景）
　この景観を描こうとしているグループが幾つかあったが、それがまた絵になる風景になっている。桃の花の中を歩く人も多い。ここには大きな駐車場があるが少し奥まった所にあり、進入する道筋が判らないと新府城址近くに車を止め、歩くようになるので、案内図を良く確かめる必要がある。（写真は絵を描く人々４景）

　桃源郷の中ほどに新府開拓記念碑が建てられている。それによるとこの桃源郷の誕生は昭和４１年から５年掛けてパイロット的に事業を始めたのが皮切りで、それが現在のように大きくなったのだそうである。何事にも先人の多くの苦労によってその後の発展があるのだと感じた。（写真は開拓記念碑）

４．山梨県フラワーセンター・ハイジの村

 　韮崎市に隣接した北杜市の山梨県フラワーセンターに行く。ここは平成１０年に山梨県が設立したが、赤字がかさみ平成１８年から指定管理者として桔梗信玄餅を発売している桔梗屋が選ばれた。桔梗屋は㈱ハイジの村を立ちあげてテーマ館を作り、山梨県フラワーセンター・ハイジの村としてリニュアールオープンしたものである。
　このフラワーセンターの名物は１，０００種５，０００株あるバラ園である。その中でも２３０ｍの長さの「薔薇回廊」は日本一の長さで、頭上や左右からバラの花と香りが漂う回廊の散策は素晴らしいといわれる。筆者も２回ほど６月に訪れたが、早すぎたり、バラの出来が良くない年に当たったりで全面が花で包まれた回廊を歩いたことが無いのは残念である。　（写真はハイジの村パンフレット表紙、チューリップ畑２景）

　また毎年４月中旬から５月初旬までチューリップ祭りが行われており、これも名物になっている。今年は一昨年の２５万株だったものから３０万株に増加したチューリップが植えられ、会期は４月１３日～５月５日までだそうである。（写真はチューリップ畑４景）

　しかし他の花と同様に今年は見頃が４月中旬と早まっていて、ゴールデンウイークに合わせた筈の満開の時期が、訪問した４月１５日が丁度良いくらいだった。おかげで好天に恵まれて、青空のもと南欧風の建物が良く似合う園内で、沢山のチューリップを眺めることが出来た。（写真はチューリップ畑４景）
　
　ここからも雪をかぶった南アルプスの甲斐駒や鳳凰三山が見られるが、少し遠すぎて小さいチューリップとのマッチングはあまり上手く行かなかった。大きな建物などがあった方が写真のバランスがうまく取れそうだ。（写真は南アルプスが入った風景４景、右端の写真の雪山は甲斐駒とアサヨ峰）

　フラワーセンター入口付近では芝桜で「ＨＩＪＩＳ　ＶＩＬＥＡＧＥ」の文字が浮き出るような花壇が造られていた。フラワーセンターの前には「明野ふるさと太陽館」という温泉施設があり宿泊も出来る。この付近は夏になると６０万本のヒマワリが咲くヒマワリ畑でも知られている。（写真は芝桜花壇２景）

　「明野ふるさと太陽館」の隣に「そば工房明野」というそば打ち体験が出来る場所があるが、昼時を少し過ぎていたので、そこで手打ちざるそばを食べた。注文をしてからそばを打ち始めるので、２０分ほどの待ち時間があったが、南アルプスの山々を眺めながら一人当たり６００円と格安の料金で美味いそばと広々とした景色を堪能できた。（写真はそば工房からの景観、南アの山は右から甲斐駒、アサヨ峰、鳳凰三山）

５．富士見町古木しだれ桜探勝

　北杜市の桜は樹齢２,００0年の山高神代桜をはじめとして、真原（さねはら）桜並木、神田の大イトザクラ、清春芸術村の桜など沢山の名所があるが、今年は例年より、１～２週間ほど早く咲き、今回の旅の時には殆んど葉桜になってしまった。しかしお隣の長野県富士見町には何ヶ所か古木のしだれ桜があり、今見ごろを迎えているというので帰路にそれを眺めて行くことにした。

　ＪＲ中央本線の小淵沢駅を過ぎて長野県に入ると信濃境という駅がある。駅近くに高森のしだれ桜という古木があるというのだが場所が分からず、駅構内に隣接して新築された瀟洒な郵便局で聞いてみた。すると局長さん自らが局の外まで出てきて、「Ｐｏａｎ　（ポアン）」という富士見町観光案内の雑誌に載っている桜と案内マップのページを広げて教えてくれた。

　教えて貰った順路に従って満開の「高森墓地のしだれ桜」を見る。近くの写真愛好家が何人か来て桜の写真を撮っていた。この桜は樹齢１５０年とかで、花の色が少し濃く華やいだ印象を受け、樹形のバランスが良いしだれ桜だった。文化勲章を受章した作家の井伏鱒二は晩年富士見町の山荘で過ごしたが、ここの桜をこよなく愛したと「Ｐｏａｎ（ポアン）」誌に載っていた。（写真は高森墓地のしだれ桜２景）

　続いて近くにある「高森観音堂のしだれ桜」を見る。樹齢２５０年と言われるここのしだれ桜も満開で、茅葺き屋根のお堂とのマッチングがなかなか良い。地元の人たちが桜茶屋を開いて桜餅やシフォンケーキなどの販売や湯茶のサービスをしている。（写真は観音堂のしだれ桜、観音堂正面と庭の弘法大師石像、解説板）

　ここのお堂は愛宕山観音堂、弘法大師堂、（新四国諏訪霊場八十八ケ所第一番札所）神沢山地蔵堂、神林山薬師堂が一つになったお堂で、本尊は千手観音だが、他に薬師如来像、地蔵尊像が各一体と弘法大師像が数十体安置されている。（写真は観音堂出入口）

　弘法大師像は木造で彩色したものだが、最初に見た時はひな人形かと思われるほどの出来栄えのものが多かった。当初四国八十八ヶ所に因んで八十八体あったのだが、以前は鍵を掛けていなかったせいもあり大分失われて現在は６０数体になっているそうである。（写真は弘法大師の群像）

　少し高所にある桜茶屋の縁台に腰を掛け、桜餅を食べながらゆっくりお茶を飲んで、しだれ桜を楽しんだ。
　この桜は富士見町で一番知られている桜だが、場所が分かりづらいせいもあり、あまり観光客は来ないのでのんびり出来る。（写真は観音堂の桜２景）　　　
　　隣に座った人は写真の同好会の人たちと小型バスで付近の桜を見るというので、これ幸いと後を附いて行くことにした。

　まず「葛窪しだれ桜」に行く。桜は見る角度や方向によって良くも悪くもなる。晴れた順光の許で撮るのが一番見栄えがする。桜の種類は高森観音堂のしだれ桜と同系列のイトザクラだそうである。（写真は葛窪しだれ桜３景）
　次に「乙事（おっこと）のしだれ桜」を見にに行く。信濃境から大分奥に入る。樹齢２００年のイトザクラである。姿・形状があまり良くないせいか見に来る人は少ししか居なかった。これらの富士見町の古木の桜のうち、茶店などが出ていた「高森観音堂のしだれ桜」がやはり一番見応えがあった。ほかに鼎談桜というのがあったが、これは遅咲きの様でまだ咲いていなかった。（写真は乙事のしだれ桜３景）

　ここから上田の塩田平にある前山寺に行くつもりだったが、道路工事などがあって道を間違え、佐久ＩＣから上信越道、北関東道と乗り継いで水戸に帰った。

（この項終り）