甲信’09秋紀行 (1) 山梨の美術館  イバイチの
旅のつれづれ


 10月12日の3連休の最後の日、首都高速を通り甲府に向かった。日曜日と連休最後の日は首都高速も空いていて、殆ど渋滞無しに通れるためである。今回甲州は美術の秋として1つの博物館と3つの美術館を巡り、信州は紅葉を探して上高地から八千穂高原への旅になった。

1.釈迦堂遺跡博物館

 東京高井戸から中央高速道で勝沼ICを過ぎるとすぐ釈迦堂PAに着く。ここから3階建くらいの高さまで階段を上がると釈迦堂遺跡博物館がある。中央高速道はたびたび利用しているが、長い階段を上がって行くのは敬遠して暫らく前に一度覗いただけだった。今回は時間に余裕があるので訪れることにした。

 この遺跡博物館は中央道建設にあたって縄文式土器が多く出土している場所の上部を通る計画だったため、昭和55年から56年にかけて発掘調査をしたら、出るは出るは15,000点以上のものすごい量の土器が出土し、その中から1,116個の土偶(全国で出土したものの1割を占める数である)など約5,600点もの国重要文化財が指定され、それらを保管展示するために昭和63年に作られた博物館だということである。
 博物館の前に立つと眼下に甲府盆地が見える。4月中旬の桃の花の咲くころには見渡す限り一面のピンク色に染まった景観が眺められる。

 館内にはたくさんの土器、土偶が陳列されているが、その中央に展示されているのが水煙文(様)土器という取っ手が水煙を表していると考えられている立派な土器である。
 似た文様の土器に火焔型土器というのがある。新潟県信濃川流域に多く出土しているそうで、国宝に指定されているものもあるそうである。
 岡本太郎が激賞していたので知っていたのだが、それと似たようなものかと思い、火焔型土器の写真と比べてみたら向こうの方がずっと立派に見えた。しかし地域は違っても双方とも日常使用するものではなく祭事などの特別の用途に使用したものらしい。4,500年前の縄文人がどのような生活をしていたのか、また祭りなどをどのように行っていたのか想像するのは時空を超えた楽しみがある。


2.山梨県立美術館

昨年開館30周年記念としてミレーの「眠れるお針子」など4点を新規購入し、本年1月に常設展示室を改装してミレー館をオープンしたというので見に行くことにした。館内の展示の位置や背景色が大分変わった。「種をまく人」は最終の展示場所から中央に移動し、廻りのスペースも広く取られて落ちついて観賞出来るようになった。

 開館30周年を記念して「お気に入りの一点」の投票を半年間行ったが、1位 「種をまく人」、2位 「落ち穂拾い・夏」、3位「ポーリーヌ・V・オノの肖像」、とミレーの作品が上位を占めたそうで、ミレーの作品を70点ほど所蔵する世界的に有名な「ミレーの美術館」の面目躍如たるものがある。

 茨城県にも茨城県近代美術館があり水戸市の本館、北茨城市の天心記念五浦美術館、つくば市のつくば美術館の3ヶ所に分かれている。さらに笠間市に茨城県陶芸美術館がある。4館とも70才以上の人は通常展・企画展とも無料である。山梨県立美術館は今年から通常展に限り、65才以上の県外の人も無料になった。

 美術館の前には山梨県立文学館があり、開館20周年記念企画展として「樋口一葉と甲州」を開催していた。「たけくらべ」「にごりえ」などの作品で知られる樋口一葉の両親は山梨県塩山の出身なのだそうである。


3.韮崎大村美術館

韮崎市の武田八幡宮近くに「武田乃郷白山温泉」という日帰り温泉施設があるが、その隣に2年前の2007年7月に開館した韮崎大村美術館がある。この美術館は北里研究所名誉理事長であり、女子美術大学理事長でもある大村智という人が特許料などの私財を投じて蒐集した絵画、陶磁器などの美術品を展示しており、昨2008年10月に韮崎市に寄贈された美術館である。

 女子美術大学は108年の歴史を持つ在野の美大で、卒業生には片岡球子、三岸節子、堀文子などが居る。館長の大村智は女子美大の理事長という関係もあり、女流作家の作品を多く収集している。

 企画展として「自然と共に 堀文子展」を開催していた。観覧券にある太神楽の絵を初めとして20点以上の小品を展示してあった。常設展には上村松園、秋野不矩、小倉遊亀、片岡球子、三岸節子、森田元子などの日本を代表する女流作家の大作が展示されている。また鈴木信太郎のコレクションも多数展示されており、小さいながら見ごたえのある美術館だった。



4.平山郁夫シルクロード美術館

 小海線甲斐小泉駅前にある北杜市の平山郁夫シルクロード美術館は、八ヶ岳南麓にあり富士、南ア甲斐駒、鳳凰三山が見渡せ、背景に八ヶ岳が聳える風光明媚な場所に建てられている。2004年7月にオープンし、2008年7月に増築改装した美術館である。

 この美術館には平山郁夫の絵画と平山夫妻が長年に亘って蒐集した日本からローマまでのアジア、中近東、ヨーロッパまでの9000点にも及ぶ絵画、彫刻、工芸品などのシルクロードコレクションを保有している。新館開館1周年記念として「ガンダーラ ― 仏像のふるさと ― 」展を行っていた。

 作品は殆ど2〜3世紀に片岩という石に彫った像が多く、日本で見る仏像の容姿では無く、ギリシャ彫刻のような彫りの深い顔立ちで、当時の有力者をモデルにして製作したものだそうである。特に驚いたのは釈迦の一生を彫った像の中に、釈迦の初説法を浮彫りにしたものを見たときである。高さ10センチ長さ50センチくらいの石に10人以上の人物が浮彫りにされており、頭や腕の裏側や天蓋の彫刻など細かく彫られており、これが本当に紀元2〜3世紀のものか学芸員の人に尋ねたほどである。

 勿論これは長い時間と根気があって作られたものだということだが、学芸員の曰く、「文明の進歩と文化の進歩は反比例するもので、現在ではこの様な精巧なものは絶対に作れないだろう。」との名言を納得して聞いた。

 絵画は常設展示が大シルクロードシリーズとして中央にローマのフォロ・ロマーノを3.6メートル幅と8メートル幅の2枚の大画面に描き、左右に3.6メートル幅の四曲屏風に昼夜ローマに向かって歩むらくだに乗った隊商を各4面描いた合計10面の大作による大空間になっている。これは昨年春、北京とパリで開かれた「大いなるシルクロード展」に展示されたものである。ほかに特別展示として昨年の院展に出品された「祈りの行進・聖地ルルド・フランス」の大作などが展示されている。 (H21-10-12訪)

 (以下次回にします)

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