桜の弘前と五所川原 (1)  藤田記念庭園   イバイチの
旅のつれづれ


旅の計画

 今年(H22年)1月に青森から弘前への旅をした。司馬遼太郎が「街道を行く」シリーズの青森県について記した「北のまほろば」という巻に、雪の弘前城から見た岩木山が素晴らしいと書いてあったのでそれを見ようかと思ったのだが、あいにくの降雪で見られなかった。 その時、雪の中を案内してくれた観光ボランテアの人に弘前の桜の素晴らしさを吹き込まれ、また桜の咲く中に屹立する岩木山も見てみたいとも思い、今回混雑するのを覚悟して出掛けることにした。

 しかし桜の咲く時期は変動が大きく、過去3年間のソメイヨシノの満開期間は、2007年は4月30日〜5月3日、2008年は4月21日〜24日、2009年は4月22日〜27日と10日以上の開きがある。ツアーで行くと蕾のうちか葉桜の時になり兼ねず、見る時間の制約もあるので個人で行くことにした。まず宿は、冬行った時に泊った弘前公園から徒歩で10分の位置にあるドーミーイン弘前というビジネスホテルが、温泉付きで交通の便も良いのでそこに決め、2月6日に、4月26日宿泊で予約した。料金は冬は朝食付きで6千円だったが、今回は書き入れ時でもあり同じ条件で9千円だった。今年の弘前さくらまつりは4月23日〜5月5日である。

 4月6日に第3回弘前公園サクラ開花予想が発表されたが、その時点では満開が4月29日頃というのでまあ良かったと思っていた。しかしその後の月20日の発表では開花が4月26日で満開が5月1日に変更になってしまったので、4月26日では殆ど蕾の様子だと思われた。せっかく行くのにそれではつまらないと思い、あきらめてホテルをキャンセルした。キャンセル料は宿泊の2日前以前は無料である。その後ホテルの空室状況を毎日調べたが、ゴールデンウイーク中はずっと満室だった。今年はダメかなとあきらめかけた4月24日になって5月5日にキャンセルの空きが表示されたので直ぐ申し込んだ。5日の料金は朝食込みで7千5百円に値下がりしていた。桜の予想満開日は5月2日〜4日になったので少し散り始め程度で何とかなるだろうと一安心した。

 折角弘前まで行くのだからと、五所川原市金木町にある芦野公園の桜(弘前公園と共に日本さくら名所百選の一つ)も見ることにし、青森・函館フリーエリアという切符を購入した。東京から29,100円で、5,000円以上安くなっている。30%引きのジパング倶楽部は4月27日〜5月6日間は使用できないのでこれが一番安いのである。

 13時ごろ着いた弘前駅には茨城で会社勤めをしていた時の運動部の後輩であるW君夫妻が出迎えてくれた。弘前に移り住んでいたことを思い出して久し振りに会いたいと思って連絡したのだが、思いがけず当日と翌日にわたり、お二人が親身になって案内してくれることになり大いに感激した。

 最初の計画ではまず弘前城の桜を見、夕方食事後ライトアップされた桜を改めて見に行こうと思い、歩いて10分以内で弘前城公園に行けるホテルに泊ることにしたのだが、案内のお二人のアドバイスにより、まず翌日見るつもりだった藤田記念庭園に最初に行くことになった。

藤田記念庭園の桜と革秀寺

 藤田記念庭園とは弘前城公園近くにある庭園だが、弘前市出身の藤田謙一という実業家が大正時代に造ったもので、東北では平泉毛越寺庭園に次ぐ規模があり、高台部は岩木山を眺望する借景式庭園であり、低地部は池泉回遊式庭園になっている。高台部には洋館、和館、考古館という建物があり、すべて国指定の有形文化財になっている。また大きな枝垂れ桜が数本植えてあり丁度満開だった。

 晴れていたが、このところ雨が降らないため岩木山は霞んで見えなかった。気温も23度まで上がり暑いくらいである。藤田記念庭園の桜を観賞しながら散策した後、岩木山方面に向かう県道3号線に乗ると、市街地の北西部を流れる岩木川に出る。橋を渡ると直ぐ革秀寺という津軽藩初代藩主である津軽為信公の御霊屋が置かれている寺院がある。今回案内してもらっているW君夫妻の家はその近所である。

 津軽藩代々の藩主の菩提寺は禅林街の奥にある長勝寺なのだが、初代藩主の為信は高岡城(弘前城)の建設を進めている途中に亡くなり、遺言に岩木山の眺望が良い地を墓所にしてくれとあった為、2代目の為枚は革秀寺を廟所と定めて霊屋を建立し、境内全域を聖域として人の出入りを厳しく制限したのである。そして長勝寺には本堂の奥に御影堂を建立して為信の座像を安置した。
 曹洞宗の古い様式を示す茅葺の革秀寺本堂と桃山風霊廟の県内最古である為信霊屋は重要文化財に指定されている。  この寺はW君の菩提寺でもあり、W君が工務店経営時に本堂の修理などを行ったそうである。寺の前には蓮池があり満開の桜が水面に照り映えていた。

(H22-5-5訪)

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