1.平林寺
今年(2018)もあと丁度一ケ月しかないという11月30日にクラブツーリズムの日帰りの紅葉見物ツアーに参加することにした。小生は来年1月には86才になるので、最近は遠出を減らして近場の桜や紅葉を楽しむことにしている。
今回はあまり行く機会がなかった埼玉県の新座市、川越市と東松山市の北西方面にある嵐山渓谷を巡るツアーである。
朝6時過ぎに水戸駅を出発した。赤塚、友部でも乗客を乗せ、約30人のバスツアーである。友部SAスマートICから常磐道に乗り、外環道和光ICから一般道に入る。9時20分頃、最初の目的地である新座市平林寺に到着した。
この寺は以前、岩槻に創建されたが、江戸時代になって松平伊豆守信綱が小姓として三代将軍家光に見出され、その才智によって家光の信頼を得て老中に任ぜられた。更に島原の乱の鎮定により川越城主に転封され、7万5千石の大名になった。
信綱は三代将軍家光、四代将軍家綱の老中として活躍し、徳川幕府初期政治の基礎を固め、知恵伊豆として古今の名宰相と称せられた。
信綱はその後、荒野だった所領地の野火止台地に水を引いて開発し、平林寺を現在の場所に移そうとしたが、それを果たす前に亡くなってしまったため、その子輝綱が遺命を守り信綱が亡くなった翌年に、この地に移建したものである。
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平林寺は臨済宗の禅寺であり、総門から山門、仏殿、本堂(非公開)までの伽藍は、禅宗典型の一直線上の配置になっており、総門から入場すると、すぐに色付いた紅葉と参道が迎えてくれる。
(写真は金鳳山の扁額のある表側から見た総門、内側からの総門と参道、凌霄閣(りょうしょうかく)という扁額のある表側から見た山門2景、内側からの山門と紅葉)
仏殿の先にある本堂は非公開で入れない 。仏殿の隣にはこれも紅葉に包まれた鐘楼がある。(写真は仏殿2景、鐘楼)
本堂の奥には信綱の興した大河内松平家の廟所がある。約3,000坪の墓域に一族歴代の墓碑170基余りが立ち並んでいるのは他に例を見ないといわれている。
(写真は立ち並んだ墓域。松平信綱夫妻の墓地、島原の乱の供養塔)
明治になり、平林僧堂という専門道場が開設され、雲水の修行が始まったが、修行には大自然が不可欠という考え方から平林寺近隣の広大な雑木林を寺域として現在も保有し、平林寺境内林といわれている。
昭和43年にこの平林寺境内林は武蔵野の風情を広くとどめる貴重な文化財として国の天然記念物に指定された。その広さは13万坪(東京ドーム9個分)あると云われ、紅葉の頃は素晴らしい景観になる。(写真は平林寺境内林の見事な紅葉の景観)
平林寺境内林 を一周して戻ってくると放生池という小さな池がある。池には大きな緋鯉が泳いでおり、池端の紅葉が水に映って美しい。池を回っていくと半僧坊感応殿.という衆生の諸願いを叶えるという大権現「半増坊」を祀るお堂があり、そこから山門の前に出る。
朝よりだいぶ入場者が増えてきており、駐車場に戻った時は我々のバス以外に新しく4台も駐車していた。(写真は放生池2景、池に居る緋鯉、半僧坊感応殿、入場者が増えた山門前)
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2.川越
平林寺を10時25分に出て10時30分に関越道所沢ICに入る。鶴ヶ島JCTから圏央道に入り、11時に川島ICで降り、11時15分に川越市役所駐車場に入る。ここから徒歩で菓子屋横丁にあるうなぎ屋に行き、国産ウナギの昼食である。
川越市は人口35万人で埼玉県内ではさいたま市、川口市に続く人口第3の都市である。江戸時代からサツマイモの産地として知られ、栗(9里)より(4里)うまい13里と言われた焼き芋は川越芋と呼ばれ、現在でもサツマイモをベースにした菓子が多い。
川越市は小江戸と呼ばれ、時の鐘、蔵造りの街並み、菓子屋横丁などの観光スポットが多くあり、海外からの観光客も多い。
川越ではサツマイモと並んでうなぎが名物なのだそうである。江戸時代、海から遠いこの地方ではたんぱく源をうなぎで摂っており、また醤油の産地だったので川越の醤油で焼いた土用のうなぎはうまいと江戸時代から評判だったそうであるが、「大穀」といううなぎ屋のうな重は普通の味だった。(写真は大穀のうな重)
食後、菓子屋横丁をそぞろ歩き、蔵造りの街並を見る。菓子屋横丁は昭和の香りがする小さい駄菓子屋や、飴家、芋菓子屋などが20軒くらい並んでいる人気スポットで若い女性たちが貸衣装の和服姿で散策したりする様子が眺められる。(写真は菓子屋横丁5景)
菓子屋横丁から蔵造りの街並みに出る。江戸時代に起きた大火の後に、火事に強い土蔵造りの商家が建てられ現在も30数棟が残っているそうで、近くの「時の鐘」と共に重要伝統的建築物群保存地区に選定されている。(写真は蔵造りの街並み3景)
「時の鐘」を見に行く。蔵造りの街並みから横丁に入ったところにある。約400年前に当時の川越藩主だった酒井忠勝によって創建され、午前6時、正午、午後3時、午後6時の1日4回鳴る鐘の音は「残したい日本の音風景100選」に選定されている。現在の時の鐘は明治26年の川越大火の翌年に再建されたもので、高さ16メートルあるそうだ。(写真は時の鐘3景)
時の鐘から少し遠回りをして川越城本丸御殿を見に行った。大きな城が見られるかと思ったが、4万6千坪あったという川越城は明治維新後解体され、現在残っているのは本丸御殿の玄関、大広間などの一部だけであり、期待外れだった。(写真は本丸御殿2景)
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3.嵐山渓谷
川越を13時20分に出発し,川島ICから関越道の嵐山小川ICで降りる。駐車場のある嵐山渓谷バーべキュー場に14時10分に着く。そこから槻川(つきかわ)という小川に沿った河原の道を行くと、京都嵐山に似た景観から武蔵嵐山とも呼ばれる嵐山(らんざん)渓谷の展望台のある場所に着く。
途中小川を飛び石で渡る場所があり、展望台に近くになるにつれて、紅葉の林が続く遊歩道になって行く。
展望台から川辺に下がると与謝野晶子の歌碑があるそうだが、時間がなく行けずに付近の紅葉の林の中を散策して駐車場に戻った。
帰りは東松山ICから15時30分に関越道に乗り、圏央道、常磐道を経由し、19時前に水戸駅に戻った。
今回のツアーでは平林寺の紅葉は期待以上に素晴らしかった。嵐山渓谷はあと30分時間があれば更に良かったと思う。
(この項終わり)
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