安曇野風景

’９９安曇野風景　

イバイチの
旅のつれづれ

’９９安曇野風景
　　①　　大王わさび農場
　　②　　そば畑
　　③　　道祖神
　　④　　栗尾山満願寺　
　　⑤　　安曇野の美術館
　　　　　　碌山美術館
　　　　　　安曇野山岳美術館
　　　　　　田淵行男記念館
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（自家用車で）
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１．はじめに

信州安曇野には何回か訪れている。最近では平成２３年（2011）４月、「安曇野北アルプス展望のみち」を北アルプス展望美術館(池田町立美術館)から仁科神明宮までドライブして白雪の残る北アルプスの景観を満喫し、翌日は堀金のしだれ桜の探勝をした。その紀行文と写真は「‘11安曇野の春など」に掲載してある。
　今回は、それ以前に訪問した大王わさび農場の豊富な水で廻る水車、相対道祖神、そば畑などの安曇野を代表する風景と栗尾山満願寺の石仏群とつつじの写真、美術館などを紹介したい。

２．大王わさび農場

　安曇野一の観光スポットである大王わさび農場は東京ドーム１１個分に相当する広大なわさび田があり、年間を通して平均１３度という北アルプスからの湧水が毎日１２万トン湧き出しているということである。ここのわさびは２年の歳月を経て出荷されるそうだが、わさび田は黒い寒冷紗で覆われ、日射による変色を防いでいる。春から秋にかけて、観光バスなどで訪れる人が多いが、敷地が広いせいかあまり込み合っている印象は薄い。
(写真は寒冷紗で覆われたわさび田）

　わさび農場の周囲には蓼川（たでかわ）、万水川という豊富な水量の川がゆったりと流れ、黒沢明監督の映画｢夢｣（1989年作）の舞台になった３基の水車小屋のある水辺の風景は当時のまま残されている。平成２３年（2011）の朝の連続テレビ小説「おひさま」の舞台になった｢百日花｣のロケセットが大王わさび農場に作られていたが、放映終了時に撤去されたとのことである。(写真は水車小屋と豊富な水量の川）

３．そば畑

 安曇野のそば畑は以前から知られていたが、連続テレビ小説「おひさま」で、見渡す限りのそば畑が放映されてから更に知られるようになった。安曇野市には国営アルプスあずみの公園が２００４年(平成１６年)にオープンしたが、まだ未完成の状況である。その知名度を上げようということもあって、堀金地区の国営公園内部に約２haのそば畑を造成し、最近はそこが安曇野のそば畑として有名になっている。しかし「おひさま」放映時のそば畑は大町市美麻のそば畑だそうである。
　安曇野のそば畑には有明富士と呼ばれる有明山（2268）が良く似合う。小生が撮影したのは平成１１年（1999）７月で、まだあまり知られていない頃である。　(写真はそば畑　３景、中央に有明富士が見える)

４．道祖神

 　わさび田、そば畑と並んで知られているのは道祖神である。安曇野には５００体を超える道祖神が祀られ、人々の暮らしを見守っている。

現在は観光案内所などには道祖神巡りマップも置かれており、主要な道祖神を効率よく回れる様になっているそうだが、小生が訪問した１０数年ほど前にはそのような案内書は無く、「水色の時道祖神」｢塩の道道祖神｣などの有名な場所以外は聞き伝えで廻っていた。

　安曇野では男女２神を祀った相対道祖神が多くあり、それぞれの道祖神には「縁結び」｢疫病退散｣｢五穀豊穣｣｢家内安全｣｢子孫繁栄｣などの願いが込められている。[安曇野市観光協会ホームページより］　　(写真は道祖神１５景)

５．栗尾山満願寺

　安曇野市穂高町西方の常念岳の麓に信濃三十三観音の第二十六番札所になっている真言宗豊山派の栗尾山満願寺(栗尾観音)という古寺がある。国道１４７号線の山側を走る県道２５号線(通称山麓線)を行くと→満願寺の看板がありそこから山中の細い道路をしばらく走った所にある。

　この寺の境内には４０種類６０００株あるという安曇野随一のつつじ園があり栗尾山つつじ公園という観光スポットでもある。今回の訪問目的はツツジ見物と共に、この寺に置かれている多くの石仏を写真に撮ろうというのである。

　寺の駐車場付近に、六地蔵が置かれており、その先に屋根つきの微妙橋という名の太鼓橋がある。この橋の橋板の裏面には梵字の経文「陀羅尼」が書かれているため、お経橋とも呼ばれており、下を流れる三途の川を渡る橋という事になっている。微妙橋を渡った先には地蔵堂が置かれて居り、そこから山上にある仁王門まで急な坂道と１７０段あるという階段の参道が続いている。(写真は六地蔵の石仏、微妙橋、六地蔵と微妙橋の先に地蔵堂が臨める)

　仁王門に着いて一息入れ、本堂までのなだらかなになった参道を行くと、その参道沿いに多くの石仏が安置されている。
　ここの石仏はあまり摩耗しておらず、丗十四番種間寺、丗十五番清瀧寺などの文字も鮮明であり、四国八十八箇所霊場の仏像であるが、順番は必ずしも揃っておらず、失われた仏像も多いようである。境内にある鐘付き堂脇の白藤が満開だった。(写真は仁王門、石仏５景、満開の白藤)

　訪問した時が５月中旬だったので、境内のつつじ園は満開だった、庭園の奥から小さな滝が流れ落ちており、小川の上には風情のある木の橋が架かって、静かに時が流れる感じだった。（写真は庭園のつつじ園小川など４景）

６．　安曇野の美術館

　安曇野市から白馬村までの地域には美術館・博物館が多く点在しているが、そのうちの１８館が安曇野アートラインという名で、共同のマップや案内のパンフレットが作られている。そのそれぞれに個性があり、また美術館を取り巻く風景と一体になって見応えがあるが、その中から印象に残った３館を紹介したい。

①　碌山美術館
 東洋のロダンといわれ、日本の近代彫刻の扉を開いたといわれる荻原碌山（守衛）の作品を展示した美術館で、１９５８年（昭和３３年）に建てられている。碌山は安曇野市（旧東穂高村）生まれで、アメリカからフランスに渡り、ロダンの「考える人」を見て、「人間を描く事はその姿だけではなく、魂そのものを描くことなのだ」と気付かされ、彫刻家になったと言われている。碌山と新宿中村屋の社長夫人相馬黒光とのロマンスは有名だが、明治４３年日本近代彫刻の金字塔といわれる「女」（重要文化財）を完成させた直後、同年４月に３０才の若さで急逝した。その碌山の｢文覚｣「女」を見ると黒光との恋の葛藤、悩みが如実に伝わって来る気がする。（写真は碌山美術館正面、入場券、彫刻「女」）

②　安曇野山岳美術館
 　昭和58年（1983年）3月に、「北アルプスの麓で山岳絵画のみ展示する」ことを設立の精神として、北アルプス山麓に開館した小さな美術館である。以来近代山岳絵画の先駆者として高名な足立源一郎を始めとした山岳写真家の作品を展示している。ここに展示してある作品は遠方から山容全体を描くのではなく、頂上付近から荒々しい岩肌や険しい岸壁などを描いたものが多く、臨場感のある作品を見ていると若き日の山登りの苦闘と頂上に立った歓喜を思い出させるのである。（写真は安曇野山岳美術館外観、入場券、足立源一郎作「北穂高岳南峰」）

③　田淵行男記念館
 　山岳写真家、高山蝶の研究家である田淵行男の作品・遺品などを展示した安曇野市立の記念館で、田淵作品の大半である７万２千点の作品を収蔵している。田淵氏は明治３８年（1905）生まれで、平成元年（1989）に８４才で亡くなっており、昭和５０年（1975）にNHK連続テレビ小説「水色の時」のモデルになった人物である。記念館には２回訪れたが、モノクロの山岳写真の展示には、若き日に写真と山登りに熱をあげていた自分の事が思い出され、懐かしく見入ってしまった。またその時雪形の写真も多数展示されており、雪形の研究家でもあったのかと再認識させられた。（写真は田淵行男記念館外観、入場券）