五泉1

’12 五泉から会津へ ② 会津鶴ヶ城の桜

イバイチの
旅のつれづれ

４．会津へ
　五泉から会津に戻る。会津の春もだいぶ遅れて４月下旬というのにまだ鶴ヶ城の桜も満開にはなっていない様子だ。三春の滝桜もまだ５分咲きぐらいとのことである。三川ＩＣから磐越道に乗り、新鶴ＰＡにある新鶴スマートＩＣで降りる。この付近には以前参詣したことのある会津ころり三観音の一つである「中田観音」や会津五桜の一つである法用寺の「虎の尾桜」があるのだが、今回の目的は１８年前の平成６年に訪れたことのある「千歳桜」が立派な樹形をしていたので、それに再会することである。地元の人に聞いたら法用寺の「虎の尾桜」はまだ咲いていないと言われたせいもある。

　この辺りはあまり変わっておらず、田畑があり森が点在する風景も走っている道も以前通った面影がある。やがて畑の中の一本桜「米沢の千歳桜」の場所に着く。３～４分咲き位でやはり開花は遅れている。以前より小さくなった感じがして見物している人に聞いたが、初めて来た人ばかりで要領を得ない。

　帰ってから昔の写真を見たら中央右手の太い幹が大きく伸びていたのがすっかり無くなっていた。樹齢７百年ということで枯死する枝もあるのは判るがメインの枝が無くなり、樹形が変わったのを見るのは矢張り淋しい気がする。　（写真は１８年前の千歳桜）

　千歳桜は会津若松市に隣接する会津美里町にあるのだが、同じ町に会津の総鎮守で岩代一之宮でもある伊佐須美神社があり、ここには会津五桜の一つである「薄墨桜」がある。この神社は平成２０年（2008）に火災があり、本殿などが全焼した。平成２５年から再建工事を始めるそうだが完成後の本殿は高床式の古代出雲大社の様な建物になるらしく、そのような図が描かれていた。（写真は伊佐須美神社大鳥居、火災を免れた楼門、再建する本殿の絵図）

　「薄墨桜」はソメイヨシノより遅れて咲くのだがまだ全然咲く様子は無かった。ウィキペディアにちゃんと咲いている写真があったので、再掲載させて貰う。　この桜は咲き始めが薄墨の様な白色から次第に赤くなっていく桜で満開時の香りが良いのだそうである。境内前の庭園はソメイヨシノの花盛りだった。（写真は訪問した時の薄墨桜と再掲載した満開の薄墨桜及び庭園のソメイヨシノ２景）

　会津若松市に入り会津五桜の一つ石部桜を見る。この桜も田圃の真中にある一本桜である。ここも１８年前の平成６年に訪れて見ているのだが、千歳桜と違って殆ど樹形は変っていなかった。
　当時の写真も載せたので比べて貰いたい。以前に撮った場所は田んぼのあぜ道で今は入れず、同じ場所からは撮れなかった。この桜も樹齢６百年と古木なのだが、手入れが良いせいなのだろうか、ともあれ変わらぬ樹形で満開の桜を堪能した。（写真は１８年前の石部桜）
５．鶴ヶ城の桜 (H24-4-26)

　旅の最後は鶴ヶ城公園である。開花が遅れていた桜もやっと咲き始めた。前夜は東山温泉の高台にある「くつろぎの宿千代滝」に泊まった。利き酒プランという会津の地酒３種類がセットになっているコースにしたので、前日同様、飲物代は生ビール１杯分だけで済んだ。（写真は利き酒セット）

　三の丸駐車場に車を置き、三の丸から二の丸に向かう。天気は高曇りで陽は射すが青空は殆んど見られなかった。三の丸の県立博物館周辺には長野の伊那高遠城址から贈られたと云うコヒガンサクラが満開で濃いピンクの花が一面に咲いていた。会津松平家の祖、保科正之は高遠藩藩主だった縁で贈られたのである。

二の丸の濠に架かる廊下橋を渡って本丸に入る。濠周辺はソメイヨシノの花盛りである。やがて石垣の上に天守が見えてくる。鶴ヶ城の天守は昭和４０年に鉄筋コンクリートで再建され内部は郷土博物館として公開されているが平成２３年に屋根瓦を黒瓦から江戸時代以前の寒さに強い赤瓦に復元されて、陽が照ると従来より華やかに見える。

　５層の天守閣最上階は展望フロアになっていて四方から会津の町が眺められる。公園内の桜やその下で花見をしている人、会津の市街地の先には遠く飯盛山も見渡せる。平成１３年に復元された南走（みなみはしり）長屋と干飯櫓（ほしいやぐら）の赤瓦の屋根がすっきりとした印象を与える。

　来年（平成２５年）のNHK大河ドラマは同志社大学を拓いた新島襄の妻になった新島八重の生涯を描いた「八重の桜」に決まったが、この八重は会津藩砲術指南の士族の家に生まれて戊辰戦争では籠城して戦い、「幕末のジャンヌ・ダルク」と呼ばれる活躍をしたそうで、全体の半分くらいは福島が舞台になるという。その会津時代の出来事について南走長屋と干飯櫓を使い、紙芝居とパネル展で紹介している。（写真は天守から眺めた南走長屋と干飯櫓）

　干飯櫓から本丸跡を囲む土塁の上の散策路に出、桜に囲まれて天守が引き立って見える。土塁の上の道を行くと、茶室麟閣に近い南東部に「荒城の月」の詩碑があった。土井晩翠は生まれ故郷の仙台青葉城を想ってこの詩を作ったと云われていたが、昭和２１年に会津若松市で晩翠の講演会が行われた時に本人から旧制二高時代に取り壊された鶴ヶ城跡を訪れて作詞の想を得たとの話があった。それがきっかけになって昭和２２年に詩碑が建立されたと云うことである。
　桜林の中を散策する。花はまだ５分咲き程度である。午後、会津若松ＩＣから磐越道に乗る。磐梯山ＳＡで喜多方ラーメンの遅い昼食を食べた。磐梯山は行きも帰りもガスに覆われて見えなかった。

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