立山黒部3

立山黒部アルペンルートと富山県の旅 ③

イバイチの
旅のつれづれ

平成２６年９月３０日～１０月３日
　第１日　水戸駅―信濃大町駅―
　　　大町山岳博物館―大町温泉郷
　第２日　立山黒部アルペンルート
　　　（扇沢駅―黒部湖―大観峰
　　　―立山室堂―弥陀ヶ原―
　　　千寿ヶ原（立山駅）
　第３日　称名滝―立山駅―
　　　高岡駅(土蔵造りのまち）
　　　―氷見駅
　第４日　富山近代美術館―水戸駅
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３．立山黒部アルペンルート②

Ａ　室堂平
　室堂ターミナルは立山黒部アルペンルートの最高地点で、標高２４５０ｍの室堂平という高地にある。アルペンルートの中心部に当たりホテル、郵便局、レストランなどが揃っている。登山や高原のハイキングコースが多くあり、多くの人で込み合う場所である。

　ターミナルの屋上出口から室堂平に出ると彼方に雄山　（おやま 3003ｍ）、大汝山（おおなんじやま 3015ｍ）、富士の折立（2999ｍ）の３つの峰から成る立山が見えるのだが、残念なことにガスが掛かってスッキリ見えなかった。黒部平からは雲ひとつ無い上天気だったのにと思いながらみくりが池一周コースに入る頃、ガスがとれて立山がはっきり見えるようになった。(写真はガスが掛かった立山と晴れた立山）

　気温は５℃でトレーナーの上に持参した毛糸のチョッキとウインドブレーカーを着て丁度良い気候である。寒さしのぎに立寄るつもりだった室堂ターミナル内の立ち食いの立山そば店は満員の盛況で立寄りは断念した。
　
　ターミナルを出たところに｢立山玉殿の湧水｣がある。立山トンネルの断層破砕帯から噴出する水で、名水１００選にも選ばれており、水温は年間いつでも２～５℃だそうだが寒いせいか人影は少なかった。その近くに立山と刻まれた石碑があるがこちらは撮影の順番待ちの人が列を作っていた。両方ともバックはガスで山頂が見えない立山で少々気の毒な気がした。(写真は立山玉殿の湧水、立山の碑）

　
　みくりが池から立山室堂に続く石畳の道を歩く。ミクリガ池の標示の先に見える山は立山である。池の全景の先にみくりが池温泉が見える。ガスの中に隠れた山は奥大日岳である。池近くの這松とナナカマドのコントラストが鮮やかである。(写真はミクリガ池の標示碑、みくりが池全景、岸辺のナナカマド）

　高原の道沿いにはチングルマの綿毛の群落がワタスゲのように続いている。岩陰のチングルマの葉はまだ紅葉していた。もう少し前はこの付近はチングルマの紅葉で綺麗だったろう。(写真はチングルマ３景）

ふと眼を上げるとガスは薄くなり、立山がすっきりと見えるようになった。石畳の遊歩道を行く人達も生き返った様に歓声を上げている。(写真は立山、立山と遊歩道を歩く人たち３景）
　　

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　立山の中腹に点在するナナカマドなどの植物は真っ赤に紅葉しており、がれ場の白い砂利、草紅葉の黄色、緑の這松などが混然一体として山岳の秋冷を感じさせる。（写真は立山山腹の紅葉３景)

　遊歩道はＵターンしてみどりが池に続く。生憎山には再びガスが掛かり始め、その姿は池には映し出されなかった。遊歩道を挟んでみくりが池も見える。(写真はミドリガ池表示碑、立山とみどりが池２景、みくりが池２景)

　目を左側に転じると血の池と呼ばれる池塘の様な小さな池が沢山ある場所が見える。酸化鉄を含んだ土地のため赤色になると言うが、あまり赤くは見えなかった。付近にはまだ赤い実をつけたナナカマドや葉が枯れかけたヤマハハコなどがあり目を引いた。血の池の先にある谷間も赤と緑と白の競演である。(写真は血の池２景、ナナカマド、ヤマハハコ、雷鳥沢の紅葉）

　やがてみくりが池温泉に着く。ここは標高２，４１０ｍで日本一高所にある天然温泉だそうである。宿泊施設だが日帰り入浴もやっており、７００円である。みくりが池温泉の奥には剣岳が見えるはずだが、今日はガスの中である。(写真はみくりが池温泉、全景)

　ここの源泉は直ぐ下にある地獄谷で硫黄の臭いのする湯を噴き出している。谷の上の方は紅葉が綺麗である。平成２６年は地獄谷の通行は禁止されていて眺めるだけである。(写真は地獄谷３景)

　みくりが池温泉を過ぎるとみくりが池展望台に行く。晴れれば立山が池に映るのだが、残念ながらまたガスに隠れてしまった。（写真はみくりが池３景)

　室堂ターミナルに戻る道の近くに吾亦紅（ワレモコウ）の群落があった。高山のせいか細々とした姿で冬間近な高原で、寂しげな風情で咲いていた。この辺りは秋というよりもう冬の佇まいである。(写真は吾亦紅（ワレモコウ）２景)

　ターミナルに着く頃、再びガスがとれて立山もその右手にある淨土山も姿を現した。１４時近くになっており、立ち食いの立山そば店は空いていたので白海老かき揚げそばを食べる。8５０円とちっと高いが冷えた体には心地よく、量も意外に多かった。 (写真は再び晴れた立山、浄土山［右手］と立山の雄山[左手]、室堂ターミナル内の立山そば店）
　

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Ｂ　弥陀ヶ原
　弥陀ヶ原に行くために立山高原バス乗り場に行く。午後になると高原から降りる人も増えてきて終点の美女平への直通臨時バスがどんどん乗客を運んで行く。立山高原バスは美女平への途中天狗平、弥陀ヶ原に停車するのだが、それは時刻表にある定期バスだけで、臨時バスは停まらないそうである。１４時２０分発の定期運行のバスに乗る。降りる時に次に乗るバスの予約をする。ここに乗り残しが無い様にするためである。

　室堂の標高は２，４５０ｍだが、弥陀ヶ原は１，９３０ｍと約５００ｍ低く、東西４ｋｍ、南北２ｋｍある溶岩台地である。平成２４年に湿地の生態系を守るためのラムサール条約に登録されている。現在日本ではラムサール条約に尾瀬や釧路湿原を始め４６カ所の湿原が登録されており、弥陀ヶ原も尾瀬と同じように木道が設置され、その上を歩いて眺められる様になっている。(写真はガキの田広場にある表示板）

　高原バスから眺めた弥陀ヶ原は草紅葉に覆われた広い台地である。台地の先は急激に落ち込んで立山カルデラという窪地になっている。弥陀ヶ原バス停に１４時３５分に到着し半分以上の人が降りた。同じバスに乗っていた車椅子の人も降りた。付き添いの人がおり、一緒に弥陀ヶ原散策をするらしい。(写真はバスからの弥陀ヶ原２景、弥陀ヶ原バス停）

　バス停を降りると素晴らしい紅葉であり、歎声を挙げる声があちこちから聞こえる。バス停前には弥陀ヶ原ホテルという大きなホテルがあり、ホテルの左手が遊歩道入口になる。(写真は弥陀ヶ原バス停付近から眺めた風景３景、弥陀ヶ原ホテル、弥陀ヶ原案内図)

　入口から木道がずっと続いている。前方には大日連山が聳えており、その麓までが弥陀ヶ原である。木々は赤から黄色まであるいは濃く、また薄く彩られ、草原は淡緑黄色に染められた草紅葉でここも紅葉の最盛期である。(写真は木道のある風景、大日岳、大日岳解説板、大日岳方面の弥陀ヶ原２景）

　木道は最初に「ガキの田広場」という名の右手に大日岳が良く見える場所に出る。湿原に点在する池塘を地獄に落ちた餓鬼が飢えをしのぐために耕した田圃になぞらえてガキ田と呼ばれるようになった場所である。夏はワタスゲが一斉に白い花を咲かせるところだそうである。(写真はガキの田２景）

　木道は遠い山々をバックに近くの丘や直ぐ手前の真っ赤なナナカマドの脇を通っている。周囲の木々は赤や黄色のグラデーションが続いている。暫らくはこの弥陀ヶ原の紅葉を楽しんでもらいたい。（写真は弥陀ヶ原５景)

　ヤマハハコの花もここではまだ輝いていた。ナナカマドも紅葉の黄色と競い合っている。遥かな丘の上にある白いコテージが印象的である。（写真は弥陀ヶ原３景)

　バスの時間近くになると湿原を歩いていた人達も帰ってくる。ミヤマリンドウのまだ蕾のままの群落があった。(写真は夕方の弥陀ヶ原２景、バス停に戻る人たち、)

弥陀ヶ原から１５時５５分発の高原バスに乗る。美女平到着１６時３０分。直ぐ１６時４０分発の立山ケーブルカーに乗る。このケーブルカーは黒部ダム掘削当時、富山県側からも資材運搬のため、このケーブルカーの立山駅側に資材運搬のため貨車をつないで物資を運搬したそうで、現在でも貨車をつないで走っている。(写真は美女平駅で立山ケーブルカーに乗る人達、前方に連結されている貨車、立山駅でケーブルカーから降りる人達）

　美女平の標高は９７７ｍで立山駅のある千寿ヶ原の標高は４７５ｍである。ケーブルカーで５００ｍ下ったことになる。弥陀ヶ原からは約１，５００ｍ、最高点の室堂ターミナルからは約２，０００ｍ下っている。立山駅到着は１７時００分だった。早朝扇沢駅を出発して立山黒部アルペンルートを通り、夕方立川駅に到着したのだが、ほぼ好天に恵まれ紅葉も全ての場所で見頃を迎えられたことは有難かった。今夜は駅近くの「グリーンビュー立山」に泊まり、｢立山｣という地酒があったのでそれを飲みながら充実した一日を振り返った。（写真はグリーンビュー立山の入口付近、夕食の料理)
明朝は「称名滝」に行く予定である。