四国3

四国４日間の旅 (3) 高知城・四万十川

イバイチの
旅のつれづれ

３．高知城

 　琴平から善通寺ＩＣに出て高松自動車道から高知自動車道に入り、１時間半後の１７時に宿泊する高知三翠園に着いた。高知市内ではまだ路面電車が走っている。途中バスの車内から「はりまや橋」を見た。よさこい節の「坊さんかんざし買うを見た」で知られている場所だが、現在は高知一の繁華街の中心地で広い道路を路面電車も交差する「はりまや橋交差点」である。しかしそれではわざわざ遠くから橋を見に来る観光客に申し訳ないというので、平成５年に交差点の近くに朱塗りの小さな太鼓橋が作られた。（写真は路面電車が走る「はりまや橋交差点」、朱塗りの小さな太鼓橋）

　バスガイドがここは「日本３大がっかり名所」の第１位にランクされていたと説明していた。第２位は札幌時計台で周りのビル群の間に挟まれて見栄えがしなくなったせいとの事である。小生は５３年前北海道に行ったが、その時はまだビルも少なく白い時計台は素晴らしく感じられた。第３位は沖縄守礼の門で、現在のように首里城が復元される前はポツンと門しか無かったため落胆したというのである。小生も守礼の門しか無い時に行ったが、沖縄戦の印象の方が強烈で、全てを失った状況から守礼の門だけでも復元されて良かったと思っていた。

　高知では桂浜の坂本竜馬像しか見ないとのことだったので、折角来たのにそれだけではつまらないと思っていた。しかし宿から１０分ほどで高知城に行けると聞いたので、夕方で本丸への入場は出来ないといわれたが、外観だけでも見たいと思い出かけることにした。高知城は関ヶ原合戦の時、積極的に東軍に味方した功績により、土佐二十四万石の領主になった山内一豊が築いた城である。明治初期の廃城の時にも本丸と天守閣は取り壊されず、太平洋戦争の空爆の被害も最小限度に留まり、日本で唯一本丸の建築群が現存している城郭である。三層六階建の天守閣や本丸の建築群及び追手門は国の重要文化財である。（写真は二の丸付近からの天守、石垣の上の本丸御殿と天守））

　追手門の石垣は修理中だったがここからも天守閣が眺められる。追手門を入ると右手に板垣退助の像がある。板垣退助は幕末から明治にかけての土佐出身の政治家で、西郷隆盛らと征韓論に敗れた後、自由民権運動で名を挙げ日本で初めての政党自由党の総裁になった。演説中暴漢に襲われ負傷したがその時「板垣死すとも自由は死せず」と叫んだ言葉は有名である。昭和２８年以降発行された百円紙幣の絵柄になっていた。（写真は追手門、追手門と天守、板垣退助の像）

　板垣退助像の先にある石段を登ると山内一豊の妻、千代女が名馬と共に立つ像がある。千代女は名馬を購入するため、持参金の１０両の大金を一豊に渡したことで有名だが、その後も家康に忠義を尽くせとの密書を開封せずに家康に渡させたなどの逸話もあり、一豊はその内助の功により出世できたともいわれている。（写真は名馬と千代女の像）

　本丸や天守閣への入場は１７時までで入れなかったが、三の丸から眺めた石垣と天守の景観や矢狭間塀と天守の取り合わせは素晴らしく、夕照を受けて端正で優美に輝いている姿は、わざわざ見に来た甲斐があり満足した。追手門の外側に出ると大きな山内一豊の騎馬像があった。奥方の千代女像は城門の内部にあるのに対して初代領主の一豊公の像は城門外にあって、だいぶ冷遇されているように感じた。（写真は矢狭間塀と天守、三の丸からの石垣と天守、二の丸の石垣と天守、山内一豊の騎馬像）

　１８時に三翠園に戻る。このホテルは最後の土佐藩主山内容堂の下屋敷跡に建てられたもので、屋敷内に山内家の下屋敷長屋が残されている。夕食は土佐名物「皿鉢（さわち）会席」といって直径３６㎝以上の大皿に料理を盛り付けるもので今回は刺身がメインだった。土佐といえば「カツオのたたき」だが、味はその割では無かった。（写真は三翠園入口と下屋敷長屋側面、下屋敷長屋全景、二人分の刺身を盛り付けた皿鉢料理）

４．桂浜から四万十川へ

 　翌９月１９日（木）、第３日目の朝８時にホテルを出発して桂浜に向かった。約３０分の道のりである。桂浜は観月の名所として知られており、よさこい節にも「月の名所は桂浜」と唄われている。竜馬と桂浜の直接の関連は無いが、一説によると幕末に活躍した竜馬や武市半平太、中岡慎太郎などは先祖が長宗我部家臣だったので下士（郷士）の身分であり、上士（侍）と差別されていたので長宗我部元親の居城の浦戸城のあった場所に太平洋を臨んで建てられたのだという。この竜馬像は昭和３年に当時の青年たちの拠出金などで建てられたが、その後昭和５８年と平成１１年に修復・強化してある。
　毎年１１月の竜馬誕生祭り前後に竜馬像に近接して、１３ｍの高さのある竜馬像と同じ高さの特設展望台を作り、竜馬と同じ目線で太平洋を眺められるようにしているそうである。（写真は三翠園と専用バス、桂浜の坂本竜馬像、桂浜海岸）

　桂浜を散策して９時１０分に四万十川に向かって出発する。四万十川は大きなダムが無いことから日本最後の清流といわれており、また洪水の時に水面下に沈んでしまう多くの沈下橋があることでも知られているが、今回行く場所は河口近くの海水が流れ込む汽水域で伝統漁法を見学する事になっている。桂浜から２時間以上バスに揺られて１１時３０分頃に四万十市の船乗り場に着く。（写真は四万十川の船乗り場）

　直ぐに屋形船に乗って伝統漁法の見学である。河口から３～４キロほどしか離れておらず、川幅は広く流れは殆んど無いくらいで満潮の時には海水が逆流してくるという汽水地帯である。
　四万十川の河口近くでは冬から早春にかけて青のり採りが行われ、全国の８０パーセントを占める産地である。青のりは汽水域でしか育たないが、その中でも川底まで十分な日光が届く透明度が無くてはならないのだそうである。全国どこでも河口近くは汽水域になるのだが四万十川以外の青のり産地が殆んど無いという事はいかに四万十以外の日本の川が汚れているのかという事になる。（写真は屋形船外観、屋形船内部）

　四万十川の伝統漁法はノリカギという引っ掻き棒で川底ののりを採る「青のり採り」以外に、「石ぐろ漁」という浅い川の中に石を積み上げてうなぎを誘い込んで獲る漁法。「柴漬漁」という葉の付いた木の枝を束ねて川に沈め、枝の間に潜んだウナギなどを獲る漁法。「土佐打ち」という独特な投げ方で網を投げる「投網漁」があり、そのうち「柴漬漁」と「投網漁」を見た。屋形船の船頭は、うまく獲れない時もあると予防線を張っていたが、何とか獲れたようだ。（写真は「柴漬漁」２景、「投網漁」２景、投網漁の獲物を漁師が見せている）

　船は河口近くにある四万十大橋の少し先まで行き、そこから引き返してくるがあまり揺れる事も無く、約１時間の楽しい屋形船体験だった。（写真は四万十大橋、屋形船から降りる観光客）

(以下次号)

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