パリ2

ヨーロッパ周遊１２日間　　( 7．花のパリ ② )

イバイチの
旅のつれづれ

　　　　　　　　　　
　　ロマンチック街道とスイスアルプス、
　　　　　　　ロンドン・ローマ・パリ　１２日間
　第１０日目　オランジェリー美術館
　　　続き　　ルーブル美術館　　
第１1日目パリ→ロンドン　　（飛行機）
　　　　　ロンドン→成田　　（飛行機）
　第１２日目成田着　　　　　　
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９．花のパリへ②

コンコルド広場
　コンコルド広場で貸切バスから下車し、昼食後自由解散になった。コンコルド広場は凱旋門から　シャンゼリゼ大通りをセーヌ川方面に下って行き、チェイルリー公園に行き着く場所にある。広場の中心にはエジプトのルクソール神殿から運んできたオベリスクが建っている。この広場は、1794年のフランス革命終結時に、ルイ16世やマリー・アントワネットをはじめ大勢の人々のギロチンによる処刑が行われた場所である。（写真はコンコルド広場[ウイキペディアより]）

　コンコルド広場の先にはチェイルリー公園がある。更にその先にはルーブル美術館があり、セーヌ川を挟んでオルセー美術館がある。またチェイルリー公園の中にはオランジェリー美術館があり、フランスの３大美術館が揃っているのである。自由時間にはそれらの美術館巡りをするつもりだった。（写真は凱旋門からルーブル付近までのマップ）

　まず最初から訪問する予定だったオランジェリー美術館に行く。この美術館はチェイルリー公園内にセーヌ川に面して建っており、もともとはチェイルリー宮殿のオレンジ温室（オランジュリー）だったが、1927年にモネの『睡蓮』の連作を収めるための美術館として整備されたそうである。（写真はオランジェリー美術館入口付近、日本語パンフレットより、同じく解説文、美術館一日入場券）

この美術館の１階は第１室と第２室の大きな睡蓮の間で構成されており、それぞれ楕円形の大きな壁面一杯に８点の大作が飾られている。茨城県の近代美術館がこの旅行の５年前にあたる昭和６３年（1988）に開館した時、開館記念展で「モネとその仲間たち」展が行われたが、その時に、このオランジェリー美術館にあるモネの「水蓮の間」の複製が出品された事が強く印象に残っており、パリに行く機会があったならば、是非本物を見たいと思っていたのである。（写真は睡蓮の間の一部２景、睡蓮の作品）
窓口で、その日なら幾つでも美術館に入館出来るという一日入場券を買って入った。あわよくばルーブルとオルセーも見たいと思ったからである。まず１階にある「水蓮の間」に入る。観客はあまり居らず二間続きの水蓮に囲まれて中央にある長椅子に腰掛けて眺めていると、部屋の周りがしっとりと湿ってくるような感じがした。

　　２階にはポール・ギョームという画商が寄贈したセザンヌ、マティス、モディリアーニ、モネ、ピカソ、ルノワール、シスレー、ルソー、ローランサンなどの作品が並んでいる。これらの作品のコレクションが加わったため、オランジェリーはパリでも有数の充実した美術館になったのである。しかもオルセー、ルーブルほど知られておらず、小振りな美術館なので混み合う事も無く、１時間半ほどでゆっくり鑑賞出来た。帰りに売店で水蓮の絵のスライドを買った。（写真はルノワールの「ピアノを弾く少女」[ウイキペディアより]、ローランサンの「シャネル嬢の肖像」、「雌鹿」、マティスの「赤いズボンのオダリスク」、モディリアーニの「若い奉公人」、ピカソの「白い帽子の婦人」）

　やや傾きかけた日の光を浴びながらオランジェリー美術館から連なっているチェイルリー公園の中をぶらぶら歩いた。セーヌ川越しにシルエット状になったオルセー美術館を眺めながら行くと、やがてルーブル美術館に着く。ここも観光客が多く、地下１階の入口に通ずるピラミッドの前に入場者が並んでおりだいぶ混んでいた。しかしオランジェリー美術館で一日入場券を買ってあったので、すぐに入場出来た。（写真はパンフレットの解説、ガラスのピラミッド入口付近「わらしべランド」からコピー、ガラスのピラミッド入口付近拡大写真）

　迷路のような路や彫刻の間を間違えながら行ったり来たりして、まずシュリー翼にある「ミロのビーナス」を見る。ビーナスは正面の右上方からの淡い光のなかでひっそりとたたずんでいるように見えた。観客は少なく、ぐるりと廻りながらゆっくり鑑賞出来た。日本に来たときの大騒ぎが嘘のような静けさである。写真もフラッシュ無しなら写せるので露光を気にしながら写したが、この美術館のところでフィルム感度がＡＳＡ１００のものしか無かったので良い写真にならず、ベルサイユ宮殿の時と同様に「わらしべランド」からコピーさせて貰った。（写真はミロのビーナス「わらしべランド」からコピー）

　そこから一旦中央の地下広場に戻り、別の入り口からドノン翼に入った。２階に通じる大階段の途中に「サモトラケのニケ」がその雄姿を見せている。昨年（1992）の秋、美ヶ原美術館で複製を見たが、本物はさすがに大きく堂々としている。（写真はサモトラケのニケ「わらしべランド」からコピー）

　大ギャラリーに展示してある多数の絵を見ながらだんだん増えてきた人波とともに「モナリザ」のある部屋に入った。「モナリザ」の前は、もの凄い人だかりでフラッシュ厳禁なのにどんどん焚いて撮っているが、係の人もあきらめているのか何も注意しない。ルーブルの絵の中で「モナリザ」だけは防弾ガラスの箱に入れて保護されており、フラッシュで写しては良く撮れないのだが記念になれば良いというのだろうか。（写真はモナリザの前「わらしべランド」からコピー）

　ルーブル美術館は「ミロのビーナス」のあるシュリー翼とメインの絵画があるドノン翼及び工事中のリシュリュー翼に分かれているが、あまりに広いので目指す絵画を探すのが大変だ。　ラファエロの「美しき女庭師」の絵が「モナリザ」の近くにあったが、１メートル角くらいの小品で立ち止まる人も無く見過ごしてしまうところだった。ドノン翼の一番奥にあるＮｏ１０の区画はスペイン絵画のある一画だが、此処まで来る人は少なく　ベラスケスの「マルガリータ王女」やゴヤの絵の前には誰もいなかった。（写真はラファエロの「美しき女庭師」、ベラスケスの「マルガリータ王女」）

　出口近くの広い部屋に　ダヴィッドの「ナポレオン１世の戴冠式」(621×979cm)　の大きな作品がある。この作品はルーブル美術館ではベロネーゼの「カナの婚宴」（666×990cm)　の次に大きな作品であるという。ベルサイユ宮殿には殆どこれと同じ作品が飾ってあったが、ルーブルのものはナポレオン１世に献上したもので、ベルサイユのものはダヴィッドが手元に残しておくために描いたものだといわれている。ダヴィッドはナポレオンの宮廷主席画家で「アルプスを越えるナポレオン」（ウィーン美術史美術館蔵）も良く知られた作品である。（写真はダヴィッドのナポレオン１世の戴冠式「わらしべランド」からコピー）

　　　同じ部屋にジェリコーの「メディュース号の筏」、ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」、「アルジェの女たち」、「サルダナパールの死」などの見ごたえのある大作が沢山並んでおり、長椅子に腰掛けてゆっくり鑑賞した。同じ部屋にあるアングルの「グランド・オダリスク」を模写している人がいた。ほかにも素晴らしい絵が沢山あるが短い時間ではとても見切れるものではなく、瞬く間に時間は過ぎ去って行き、オルセーも見たかったがあきらめてホテルに戻ることにした。（写真はジェリコーの「メディュース号の筏」、ドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」[わらしべランド]より、「アルジェの女たち」、「サルダナパールの死」を見る観客、アングルの「グランド・オダリスク」[わらしべランド]より）

　セーヌ河畔を地下鉄の入口を探しながら歩く。川に沿ってアール橋（芸術橋）と呼ばれる歩行者専用の橋のたもとには本や絵などの露店がずらりと並んでいた。地下鉄の入口がなかなか見つからず焦りながら２０分近く歩いてノートルタムの大聖堂が見える頃漸く見つけた。しかし今度は切符の買い方や乗り方が判らず一苦労し、やっと乗ったらなかなか停車せずおかしいと思ったら郊外に行く電車だった。また引返して乗り直したりしてだいぶ時間と神経を費やし、暗くなった頃やっとホテルに帰ってきた。ルーブルで会った同じツアーの人はタクシーで帰ったよと涼しい顔をしていた。夜はセーヌ河遊覧のオプションツアーがあったが疲れて参加せず早々に寝た。（写真はアール橋、本や絵などの露店）

　パリの印象は「花の都」などと云うものではなく、初日のベルサイユ宮殿の観光の時の肌寒さや地下鉄の駅が判らなかったり、行く先が読めず間違った車両に乗ったりしてあまり良い感じでは無かった。またベルサイユ宮殿でもノートルダム寺院でもだいぶ待たされ、地下鉄の出口では柵を飛び越えて出る若者が多くロンドンとは随分違っている。ルーブルも工事中で調べて行った所にその絵が無かったりしてルーズな感じを受けた。

　しかし凱旋門，ノートルダム寺院やほかの建造物の彫刻などは素晴らしく、多数の美術館があり古今の名画が何時でも見られるのはパリでしか無く、さすが「芸術の都」だとの感じはした。

１０．帰国の途

５／２２（土）
　　ヨーロツパの旅も今日までであとは日本に戻るだけになった。荷物の整理をして１１時３０分ホテルを出る。ドゴール空港でチョコレートなどを買って１４時３０分ロンドンに向かい一時間ほどでヒースロー空港に着いた。乗り継ぎ便の待ち時間に土産にハロッズのネッカチーフとトワイニング紅茶を買った。(写真はパリからロンドンへの搭乗券）

　ロンドン発１６時１５分のＢＡ００７便が２５分遅れて出発した。座席が４人席の内側になって窮屈極まりない。夜中にトイレに行くのも隣の人に起きて貰ったりして、成田までの１２時間はつらい時間だった。エコノミークラスは座席も狭く、前の席との間隔も少ないので今度行くときはビジネスクラスにしたいと思うが、また倍の運賃を払うのなら我慢するしかないかとも思う。(写真はロンドンから成田への搭乗券）

５／２３（日）
　成田に定刻より１５分遅れて１２時１５分ごろ到着した。入国手続，免税申告など終わり、お世話になった添乗員に挨拶し、日通航空に別送便の手続をして１３時４０分発のシャトルバスでＡＮＡホテルへ戻る。スーツケースやお土産を駐車場に置いておいた車に乗せて久しぶりに見馴れた日本の景色の中を、一路家を目指して走る。日本に着いたら疲れがどっと出た感じだ。

１１．エピローグ

　家に帰った翌々日、別送した土産物が届いた。また写真のフイルムは１３本写し、Ｄ．Ｐ．Ｅ．の費用もだいぶかかった。ライン川の船上で壊れたカメラを修理に出す。親戚，友人に土産のプレート，カウベル，キーホルダー，チョコレートなどを配ったり、全部で９本写したビデオを見せたりして月日が過ぎる。旅行の記録を整理するため、アルバムに写真，絵葉書，パンフレット，チケットなど切り抜いたりコメントを書いたりして６月半ばに２冊にまとめた。

　７月１９日に横浜美術館でルーブル美術館２００年展があるというので、再びあの感動を得ようと見に行った。しかし当日は開展後１ヵ月以上経過ししかも平日だったが、大勢の人波に押されてただ歩くだけの状態であり、とても絵を鑑賞しようという雰囲気では無く、改めて彼我の差を感じた。

　また８月のある日、スイスのルツェルンにあるスイス最古の木造橋といわれるカペル橋が火災で炎上したとのニュースがあった。夕食のあと日の暮れる頃この橋の上で両岸の灯りを眺めながら散策し、橋の中央あたりにある売店でおばあさんから絵葉書を買ったのを思い出し、梁に掛かっていた沢山の古い絵がどうなったかなと遥かに思いを馳せた。

　今回のヨーロッパ旅行はロンドン，ローマ，バリの各都市とロマンチック街道，ヨーロッパアルプスのビューポイントを巡る観光の旅だったが、幸い天候に恵まれて殆ど雨に降られることもなく５月の陽春よりむしろ暑いくらいの気温のなかで緑の山野を眺められ、素晴らしい旅が続けられた。

　とくにドイツロマンチック街道の見渡す限り緑の絨毯に覆われた牧草畑が続くなかに点在する煉瓦色の屋根、そして黄色や白の草花の群落が点景として彩りを添えている景色は、期待していなかっただけに強烈な印象として残っている。

　そしてスイスのクライネシャイデックから眺めたアイガー，メンヒ，ユングフラウの白い雪と青い空、そして太陽に照らされ青光りするアイガー北壁の雄大な景観は、帰路車窓から聞こえる草を食む牛の、高くまた低く響くカウベルのカランカランと云う音と共に忘れられない光景だった。

　またパックコースの予定に入っていなかった美術館にも、いろいろ苦労しながらもロンドンのナショナルギャラリーとパリーのオランジェリー，ルーブルの３個所に行けたのも楽しい想い出である。海外の旅行でも国内と同じように自然の景観，美術館，寺院などに心が魅きつけられたような気がする。また今度行く機会があったらあちこちの国をとび廻るのではなく、１～２ヵ国にしぼってゆっくり歩きたい。とくにスペイン，イタリー巡り，スイスのマッターホルン周辺などは是非行きたいところである。

（この項終わり）

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３.スペイン紀行

4．香港・マカオ
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 5．ヨーロッパ
　　周遊12日間
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 ②ローマ
③ドイツ
 ④ドイツ②
⑤スイス
 ⑥パリ
 ⑦パリ②

６．アメリカ西海岸

７．ハワイオアフ島

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