秋田2

'13 青森龍飛・秋田紀行 (２) 龍飛岬②

イバイチの
旅のつれづれ

　青森龍飛・秋田紀行
　　（平成２５年１２月４日～１２月７日）

　　②１２月４日
　　新青森駅―蟹田―龍飛館―龍飛崎燈台
　　―青森駅―ハイパーホテルズパサージュ（泊）
　　　　（ＪＲびゅうばす）
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３．青森県竜飛岬②

竜飛岬観光案内所（旧奥谷旅館）から青函トンネル記念館に行く。ここは世界最長の海底トンネルである青函トンネルの構想から完成までを、資料パネルや立体モデルなどで展示公開している。（写真は青函トンネル記念館全景、入口付近、入場券）

　更に体験坑道として記念館駅から斜坑を通り、海面下１４０mの体験坑道駅までケーブルカーで見に行けるようになっている。しかし体験坑道は１１月迄の営業で、現在は冬季閉鎖になっており展示ホールだけしか見られなかった。（写真は展示ホール２景）

　青函トンネルは昭和29年（1954）の青函連絡船洞爺丸の遭難事故により、トンネルによる青函連絡の構想が具体化し、昭和３９年（1964）から掘削工事が始められた。その後、出水事故など多くの試練と挫折を繰り返しながら昭和６０年（1985）に、着工してから２１年目に全貫通になり、昭和６３年（1988）に津軽海峡線が営業を始めた。

　完成までに２０年以上の歳月を要し、作業に従事した人員は1,000人を超えていたそうである。そのために家族で住める宿舎を建て、子供たちの小学校も建てて、地元の子供たちもそこに通ったそうである。青函トンネルの作業が終わって、働いていた人たちは新しい職場に移動した後もこの竜飛が忘れられず、定年後ここに家を建てた人も何人か居るとガイドが話していた。（写真は龍飛埼灯台から眺めたホテル竜飛や津軽海峡冬景色歌碑方面、下北半島から遠く北海道の山々も見える）

　竜飛岬は「風の岬」との異名があり、年間２００日は風速２０m以上の強風が吹くという事で知られている。特に冬は風が強く、地吹雪になって立っていられないほどだそうで、作業員の宿舎建設では始めに連絡通路を設けその後住宅建設に取り掛かったくらいである。

　風が強いという事で、ここで平成４年（1992）から東北電力により日本最初の風力発電の実験が行われ、平成１１年（1999）には１１基の風車が稼働し｢竜飛ウインドパーク｣として観光名所になったということである。その後老朽化して廃止されたが、現在は３基が観光用として再建されたそうである。（写真は以前あった風車群）

坂道を上って行き龍飛埼灯台に行く。この灯台は昭和７年から点灯されて居り、日本の灯台５０選の一つだそうである。灯台のある場所からは岬の少し先端にあるレーダー基地を隔てて北海道松前半島の山並みが良く見渡された。津軽海峡には白い船が点々と浮かんでいる。大間のマグロ船団だそうで、下北半島沖より、津軽半島沖の方が良く獲れるのだそうである。（写真は龍飛埼灯台、北海道の山々、マグロ船）

　訪れた日は風も無く晴天の日だったが、この灯台は別名「風の灯台」と言われ、通常はいつも強い風が吹き、北海道もガスのかなたで見えない日が多いという事で、今日のお客さんは運が良いとバスガイドが言っていたが、冬、吹雪の日に急坂を上ってこの灯台に辿り着いたとしたら、歌の文句にあるように「北のはずれのさいはての地」としか思えない心細さを感じるのかもしれない。（写真は側面からの龍飛埼灯台、龍飛崎の突端、駐車場方面からの灯台全景とびゅうばす）

　ここの地名は「龍飛崎」が正式名称らしいが、灯台名は「龍飛埼」である。石川さゆりの津軽海峡冬景色では｢竜飛岬｣になっている。太宰治の｢津軽｣でも｢竜飛岬｣と記している。司馬遼太郎の｢北のまほろば｣には「竜飛崎」と書かれ、後述する大町桂月の文学碑には｢龍飛岬｣と記してある。また青函トンネルの駅は｢竜飛海底駅｣というようにまちまちの標記になっており、適当に使い分けているらしい。

　龍飛埼灯台近くの台地は「碑の丘」と呼ばれているそうで、龍見橋（太宰の道）という歩行者用の橋を渡ると吉田松陰の詩碑、大町桂月の文学碑などがある眺望に優れた場所である。
松陰の詩碑にはペリー来航の前年である嘉永５年（1852）に友人の宮部鼎蔵と共に国防を憂い、小泊方面から道なき道を踏み越えてこの地を訪れ、三厩で読んだ漢詩が刻まれている。（写真は龍見橋と碑の丘入口付近）

　刻まれている詩は
　去年今日發巴城　　楊柳風暖馬蹄軽　　今年北地更踏雪
　　寒澤卅里路難行　　行盡山河萬夷險　　欲臨滄溟叱長鯨
　　時平男兒空抗概　　誰追飛將青史名
　である。
　その大意は「去年萩を発つ時は暖かく馬蹄も軽やかだったが、今年は北の雪を踏みしめ、多くの峪沢を難行の末越えるなどと山河を行き尽くし蝦夷地を臨んだが、外国船の行き交うのを止めさせられず、男子としてそれが歯痒い。誰か歴史に飛将の名を残す者は居ないのだろうか」ということであろう。（写真は吉田松陰先生詩碑）

　また大町桂月は明治から大正期の文豪で、美文体の紀行文で知られている。特に東北・北海道を愛して下北仏が浦など多くの場所を訪れており青森県奥入瀬渓谷の近くにある蔦温泉に墓がある。桂月は大正１１年（1922）にこの龍飛岬を訪れており、その時の紀行文の一節が文学碑に刻まれている。他にも歌人佐藤佐太郎の「陸はつる　海の光に草山は　きすげの花の輝くあはれ」の歌碑が日本海側の風光明美な場所に置かれており、他にも川柳の川上三太郎の句碑などがある。（写真は大町佳月文学碑全景と拡大写真、佐藤佐太郎歌碑、バックは日本海）

　「碑の丘」を下りて津軽海峡冬景色の歌碑のところに行く。この歌が昭和５２年（1977）に発表されて大ヒットになったことから竜飛岬が広く世に知られるようになった。この歌を発表した時、石川さゆりは弱冠１９才の少女だった。歌のキャンペーンでこの竜飛岬で歌ったが、その時は強風でやっと１番だけ歌えたが、その後はあまりにも風が強くて歌えず、中止になったというエピソードが残っているそうである。
（写真は津軽海峡冬景色歌碑３景）

　歌碑の少し手前に階段国道の大きな看板がある。国道３３９号線は昔源義経が蝦夷に渡る時に腹帯を締め直したとの伝説が残る帯島に囲まれた龍飛漁港付近から３６２段の階段で上部の道路につながっている場所である。（写真は階段国道の案内看板、帯島と龍飛漁港、階段国道の上り口付近）

　国土交通省によれば国道指定当時は坂道だったが、地元の要望によって階段に変更し、近くの車が通れる道を国道に指定し直そうとしたが、地元からこの方が車では通れない国道として観光名所になるからとの請願があり、指定変更を中止したとのことである。（写真は階段国道、案内図）

　帰りに外ヶ浜町と五所川原市に挟まれた蓬田村の「よもぎだ物産館マルシェよもぎだ」という村の物産館に立ち寄った。この地方では海苔の代りに、薄く柔らかな１年物の昆布でおにぎりを包み込むそうで、是非試してくれとバスの中でガイドが説明していたが、その昆布を売っている筈だというのである。成程行ってみると「若生（わかおい）昆布」というものがもう残り少なかったが売っており、奥さん連中は買い求めていた。他にも「木の葉焼きいか」「焼とんび」「たこ風味そぎくん」など聞きなれない珍しい名前の土産物がいろいろあった。（写真は若生昆布、珍味の土産物）

　「びゅうばす」は竜飛崎にある｢ホテル竜飛｣で宿泊客を下した後、新青森駅経由で青森駅に１８時前に戻ってきた。今夜は青森駅前のハイパーホテルズ　パサージュというビジネスホテル泊まりである。じゃらんnetで早割、朝食バイキング、シングルルーム4,780円というプランを申し込んでおいた。ここに決めたのはバスルームが独立してあり、浴槽と洗い場が別になっているという事だったので、ゆっくりのんびり入れると思ったからである。

　夕食はホテルのフロントで紹介して貰った近くの魚料理の小料理屋に行った。時間が早かったせいか地元の人は居らず、同じホテルの泊り客で「マンホール文化研究会代表」という人が居て話を聞いた。各地のマンホール蓋の写真を撮り歩いているとのこと、２０１２年に日本のマンホールという本を発行したこと、日本のマンホール蓋の絵柄の豊富さは郷土意識の強さと鋳物技術の高さを示すものであること、日本全国３千枚以上の写真を撮っており、まだ撮り続けていること、同行の士も結構居て、ブログなどで紹介してくれるなど楽しい話を沢山聞かせてくれた。

　帰宅してからは近くのマンホール蓋に眼が行くようになり、早速水戸市のカラー表示のマンホール２例を撮ったので紹介する。

（以下次号）

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