水戸市六地蔵桜 20年の変遷 イバイチの
旅のつれづれ


  水戸市六反田町に六地蔵寺という真言宗豊山派の古刹がある。ここには樹齢180年といわれる大きなしだれ桜があり、毎年開かれる水戸市桜まつりには偕楽園、千波公園、桜山などと共に会場の一つになっている。この六地蔵のしだれ桜は毎年4月8日の花祭り [灌仏会(かんふつえ)=釈迦の誕生日] に満開になり、甘茶を頂きながら鑑賞することが多いのだが、今年(平成25年)は開花前に暖かい日が続いたため例年より2週間早い3月23日に満開になってしまった。(写真は平成5年頃のパンフレット表紙、平成25年3月23日の桜)

 水戸市のサクラ開花は水戸市三の丸にあるソメイヨシノの標準木の開花によって発表されるが、水戸気象台が昭和28年に統計を取り始めてから2番目に早い記録だそうである(1番は平成14年の3月20日である)。水戸市の平年の開花は4月3日なので今年は12日早かった。ソメイヨシノは開花から約1週間で満開になるが六地蔵のしだれ桜はそれより2〜3日早いのが通例である。しかし今年はバラツキが大きく樹齢180年のしだれ桜が満開になっても弘法大師像の下にある若いしだれ桜は7分咲き程度、地蔵堂の前にあるソメイヨシノは2〜3分咲き程度だった。(写真は弘法大師像とその背面にある7分咲きの若木の桜)

 六地蔵寺の縁起は名称を「倶胝密山(ぐていみつざん) 聖寶院 六地蔵寺」と云い、縁起によると大同2年(807)の開山とされている。山内には樹齢1100年以上の大杉や樹齢800年といわれる大イチョウなどがあり、桜の時期以外は静寂な雰囲気に満ちており、茨城百景のひとつに選出されている。(写真は境内入口に表示されている六地蔵寺縁起)

 本尊は行基作と伝えられる地蔵菩薩で、地蔵堂の中央の厨子に入った地蔵尊がある。その両脇に六体の地蔵尊が並んでおり、それが六地蔵の名の由来である。(写真は地蔵堂正面、地蔵堂に掲げてある扁額、地蔵堂内部、地蔵堂の案内板)

 地蔵堂の前にも6体の石造りの地蔵尊の像が置かれているが、平成23年3月11日の東日本大震災時に2体が破損してしまい、本年(平成25年)春までに復元された。。(写真は平成6年時の石造りの六地蔵、平成15年撮影の左端の2地蔵尊、前から二番目と五番目の地蔵尊が復元された現在の六地蔵)

 また6体の石像の向かい側に燈篭を担いだ小鬼の石像があり、担いでいた燈篭が破損したがこれはまだそのままである(平成18年春と平成25年春の小鬼の石像)


 この寺には典籍1975冊と文書479通が残されており県の文化財になっている。水戸藩2代藩主徳川光圀は大日本史編纂の時、これらの書物を参考にしたといわれている。そのこともあって、光圀はこれらの資料を後世につなげるために境内に法寶蔵という建物を建立した。明治の末近くに蔵の中から慶長小判30枚が発見されたが、調査の結果光圀が将来の修繕費として残したものだという事で話題になった。(写真は法寶蔵と案内板)

 また光圀は度々六地蔵寺を訪れ、当時から咲いていたしだれ桜を愛でて漢詩を作っている。それを昭和3年に水戸徳川家の子孫である侯爵徳川圀順の揮毫により、延宝2年(1674)に光圀が創った七言絶句の詩碑がしだれ桜の下に建立されている。(写真は平成5年頃のパンフレットに掲載されていた七言絶句、詩碑、パンフレットの解説文)







現在のしだれ桜は光圀時代のものではないが、20年ほど前はこの詩碑はさくらに覆われてよく見えないくらいだった。しかし最近は樹勢の衰えもありしだれ桜が後退してしまったため、はっきり見えるようになってきた。この老木もそろそろ弘法大師像の場所に植えられている若木に取って替わられるようになるのかもしれない。(写真は平成8年、平成16年時、平成18年時、平成23年時、平成24年時、平成25年時の詩碑と桜)

 六地蔵のしだれ桜は20年ほど前から殆んど毎年見に来ている。10年ほど前の桜は3段に重なるように咲いてそれは見事なものだったが、その後最上段、上段の枝が失はれ現在の様に若木の桜と一体になったな横に長い枝振りになってしまった。(写真は平成6年、平成14年、平成24年の桜)





それ以前からも時折見に来た時の写真もあるが、人物主体で人に見せられるものは殆んど無く、昭和62年4月5日に撮影したものが最初である。(写真は昭和62年、平成6年、同じく平成6年、平成7年、同じく平成7年の桜)





それ以後は平成6年から毎年か隔年くらいに撮ったものがあるので、それらの写真からこの20年間の変遷を見て貰いたい。(写真は平成10年、平成15年、平成18年、平成22年、平成25年の桜)

 中央にある年数を経た太い幹と桜、弘法大師像と共にある若いしだれ桜の満開の状況も見てほしい。六地蔵寺のしだれ桜は今後も新しい若木に引き継がれながら何時までも咲き続ける様に願っている。(写真は平成8年、平成10年、平成13年、平成14年、平成22年の桜)

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